ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』&国際交流

ジュンパ・ラヒリはご両親がインドからアメリカに渡った移民二世のとっても美しい女流作家です。

様々な人生の一瞬を精密な描写力と、少しシニカルなユーモアで描く彼女の作品は、

洗練されたカフェでコーヒーを飲んでいる時のような上質な読書時間を与えてくれます。

今回はラヒリの短編集『停電の夜』にから『ピルラザさんが食事にきたころ』『三度目で最後の大陸』を読み、

異国で暮らす家族に想いを馳せました。

『ピルラザさんが食事にきたころ』は、パキスタンとインドの間の戦争を、アメリカで、

それぞれの国から来た友人同士がテレビで見つめ、互いの家族の無事を祈る日々を、

幼い少女の視線で描いた作品です。少女は、はっきりと言葉に出すことはできずとも、

他者のために祈ることを知ってゆきます。

また『三度目で最後の大陸』は、移民としてアメリカに渡ったばかりの男性が、

慣れない土地で家族をいたわる様や、アメリカ人の老婦人と心を通わせる様子が描かれた、

ほろ苦い味わいを持つ作品です。

母親たちで本の感想を語り合った後は、インドのお隣スリランカからいらしているプールミカさんに 

佐賀での子育てについてお聞きしました。プールミカさんが最初に日本にいらした時、

道を聞いても英語ができないからとほとんどの人に逃げられた話、

また外国人は危ないと子供を遠ざけられた話、毎朝挨拶をしても返事をしてもらえない話を聞き、

佐賀での外国人がいかに孤独を感じているかを知りました。

プールミカさんは傷つきたくないから、もう挨拶をしなくなったとおっしゃられました。

日本人のコミュニティの閉鎖性、特に外国人に慣れていない佐賀の閉鎖性を改めて感じました。

日本にいたことをいい思い出にしたいとおっしゃるプールミカさんの希望が叶えられるように、

もう少し外国人に優しい社会になればと感じました。

またプールミカさんは小さな子供を抱えて研究と仕事と育児を頑張っていらっしゃる話をしてくださり、

佐賀に居る外国の方々が志高く頑張っていらっしゃることを知り母親たちも刺激を受けました。

また他の母親たちも異国で暮らした時の体験を話してくださいましたし、

同じスリランカ出身のダンミカさんは日本人に親切にされたことがどんなに育児の助けになったかを語られました。

最後にスリランカの伝統的な遊び、目隠しをして象に目を書くというゲームを行いました。

この会がとてもいい会になったのは国際交流プラザのコーディネーターのチェンさんの奔走のおかげだと

思います。

チェンさんが佐賀で頑張っている外国人を守ろうと頑張っていらっしゃるお姿に深く感銘を受けました。

また、今後国をかえ、様々な国の文学を知り、人々を知る会にもなればと思いました。

今回は40人近い参加になりました。